サービス残業を真剣に考える

さて、GWだし時間に余裕があるので真面目な話題も少し。本当は世代間確執の話を取り上げようと思ったけど、なんか凄い事態になりそうなので急遽こんな話題を。明日メーデーだしちょうどいい。うちは組合ないから関係ないけど。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20050428AT1F2701D27042005.html
これってとてもやばいこと。記事がやや曖昧で、読みようによっては深夜労働や休日労働の割増賃金が廃止になるように思えるけど、管理職について触れているからそれはない。ここでいう割増賃金は残業代に他ならない。つまり、この記事が意味することが見出し通り残業代0、すなわちサービス残業合法化ということだ。
日本ではこれまで労働基準法はほとんど意味のない法律だった。法に対してわりと厳格なイメージがある日本において、ここまで無視されて有名無実化された法律って労働法関係ぐらいではなかろうか。週40時間までが認められている労働であって、本来は40時間をこえた労働そのものが違法。ただし、割増賃金を払ったりするなら、一定の条件で認められる。それもサブロク協定とか労使間の合意とか色々な制限があるわけで。でも、実際はそんなの無視されているんだよね。正直、日本以外だったらとっくに暴動が起こっているレベルだよ? 朝7時に出て終電帰宅、休日出勤、帰宅してもただ寝るだけ、などという、憲法で保障された健康的で文化的な最低限度の生活とはかけ離れた生活を送っている人がどれだけいるか。そこまでひどくなくても、どれだけ自分の時間が持てるか。生活するための金を得るための労働が、今や労働するために生きているみたいな。
日本は、そのあまりに劣悪な労働環境から、ILO(国際労働機関)から再三警告を受けているけど、それを国民には知らせず無視し続けている。派遣法もその一つ。中間搾取を合法的に認めるなんて狂ってるとしか思えない。全ては、経済界が膨大な献金で政治家を牛耳っているからに他ならない。小泉が総理大臣になってから庶民の生活はどんどん危機に陥っているのに、いまだ選挙で自民党が勝つのが信じられない。愚民化政策が成功しているのだろうけど。少なくとも、普通の労働者や、特に非正規雇用者が自民党に投票するなんて、自分で自分の首を絞めているに他ならない。もちろん、現状では外交問題などで他の党の姿勢が気に入らないからという消去法的選択で自民党を選んだり無投票しているのかもしれない。でもさ、自分が普通に食べていけなくなったら、国際競争力とか、国家としての威信とか意味ないじゃん。これからますます非正規雇用は増えていくだろうし、正社員だろうといつリストラされるか分からない。本格的に将来設計ができなくなっている。少子化になるのも当たり前。自分が今後食っていけるかどうか分からないのに金かかる子供なんて怖くて産めないよ。むしろ結婚自体がリスクになってる。
話がそれた。
ええとだ。サービス残業ってのは援助交際みたいなもので、その本質をオブラートする悪い言葉。労働者がサービス精神旺盛でただ働きしているわけないじゃん。そういう雰囲気があるから、そして解雇の恐怖が(労働基準法では解雇権の乱用は禁じられているが、その労働基準法自体が軽んじられているし、訴えるだけの気力と資金力がはたして一個人にどれだけあることやら)そうさせているだけで。企業はリストラで人を減らし、そこで人件費の節約のために人を補充しないから残った人員に負担がのしかかる。それを無賃労働、ただ働きでこなさざるをえなくなっている。サービス残業=不払い労働、ただ働き、強制労働(無言の強制だろ)に他ならない。
もっとも、この問題は難しい。残業代を全部払ったら会社そのものが潰れかねない。もちろん、法律破らないと潰れるような会社は潰れるべきだ、という意見もあるんだけどね。ただ、今はあまりにも無法すぎるのが問題なわけで。僕が勤めてる会社は、20時間までは出るからまだマシな方だけど。まあ、月40時間は残業してるから、20時間はサビ残だけどね_| ̄|○
最近大会社対象だけど、サービス残業の取締りが続いていたけど、そこでこういう政策を持ってくるか。サービス残業合法化すれば問題ナッシングと。脱線事故と大型連休で世間の注目がそちらにいっているこのタイミングってのが非常に気になる。この改正案が通ったら、本当に悲惨なことになるよ。自殺者は今は年3万人だけど、10万になるかもしれない。
ちょっと前までは、労働者=消費者であり、あまりに労働者の時間を奪ったら、結局は会社そのものの首を絞めることになると思ってたけど、どうも違う。おそらく、大量に消費する金持ち層と、消費すら認められない労働だけする層に分けようとしているのではなかろうか。色々な商品で、高い商品と安い商品の二つに分けているのもこれかもしれない。よく聞く例ではカップラーメン。低所得者用の安いカップラーメンと、それなりに収入のある人用のカップラーメンの2種類を作っているらしいし。
なんかねー、働くもの食うべからず、ノーワークノーペイとか声高に叫ばれてるし、実際ノーワークに対する処断は厳しい。それにもかかわらす、ハードワークノーペイがまかり通っている現状は何かおかしい。この法案は本当に危険だと思う。そもそも、企業は利潤を追求するものだから、国が歯止めをかけないと労働者がとことん搾取される。それを防ぐために労働法はできた。時代にもろに逆行している現状が怖い。
僕のサイトに来る人は、まだ社会に出ていない人の方が多いだろうし、僕が言っていることがピンとこないかもしれない。でもね、本当に今は危険な状況にあるよ。もっと僕たちは政府に対して声を上げていかなければならないんだよね。とりあえず選挙には行こう、絶対に。