simoun 第25話『パル』 最終話『彼女達の肖像』

いやあ、面白かった。感動した。最初は流行の百合を取り入れただけの作品と思っていたけど、中盤以降から加速度的に面白くなった。
で、最後の数話は戦争に負けて、性別選択の泉へ行かされることになった巫女たちの話がメインだったわけで。これまで戦いに身を投じてきた巫女たちが、いつかは自分たちも選択しなければならないことを自覚していたとはいえ、突如自分たちの意思ではなく他者のはたらきかけで性別選択を迫られることになった。その突然選択しなければならなくなったことの不安や葛藤の描写がとてもよかった。やはりフロエは男になったか。最終話で別人みたいになっていたのに驚いた。実は、最初アーエルが別世界で男になったのかと思って焦ったよ。ほぼ全員が女になったのはやはりといったところか。双子の片方は男になると思ったんだけど。パライエッタが女になったというのは想像通り。メンタリティーは完全に女性だもんなー。そして、モリナスとワポーリフが一番幸せだな。ただ、フロエたちのところにきた赤紙みたいなものを見ると、まだ戦争が終わったわけではなく、戦争に巻き込まれる、ないし軍人として死ぬかもしれない、という将来があるのが悲しいところか。それでもフロエとヴューラは、戦争のことをわりとあっさり受け入れているのか。
翠玉のリ・マージョン後の二人がどうなったかを描かなかったのは正解ですな。リモネたちの世界で新たな二人が旅立ち、そのことに対するよきことというのがアーエルとネヴィリルのことかな。そして、アーエルという言葉が最上の愛であることの伏線をきちんと解消したのもよかった。ストーリーの丁寧さを証明してますな。
巫女たちはモノローグで、アーエルとネヴィリルに託したものは、自分たちは性別を選択して大人にならなくてはならないが、彼女たちには永遠に少女でいてもらいたいという自分たちの代替としての想いを否定していたけれど、そういう部分もあっただろうな。もちろん、自分たちがそこにいたことの証明って方が大きいだろうけど。それも、子供から大人へなり、様々なものを捨て、様々なものを得る、でも自分は変わらずいる、自分たちはそこにいたという証を求めるのが、少年少女の想いの発露としてあったと思う。最終話の所々で巫女たちのその後があったが、彼女ら彼らの心の中にはあの日と変わらないアーエルとネヴィリルがいて、永遠の少女である彼女たちをまぶしく思いながら、自分たちが巫女として生きた日々を懐かしく思いながら、その思いも一瞬で今を生きる。うん、最終話で綺麗にまとまったと思う。見続けてよかった。