「C」 6話

どんどん面白くなっているのは確か。演出とかかなり考えられて作られていると思う。
ただ、自分なりに考察しないと面白さも半減という感じはする。

冒頭のサトウサービスシーンは正直ほとんどいらないよなー。今回のメインキャラの宣野座がTVに出るような人物であるという前見せと、サトウが気にかけるような強力なアントレであり、そしてサトウが公磨について気にかけていることを改めて提示するという意味は確かにあるけど。その後の誘拐にもつながるわけだしやっぱ必要か。

で、前回これからバトル! 相手は椋鳥ギルドが要注意人物にするようなアントレだ! という引きだったにもかかわらず、そのディールはなかったかのごとく、公磨は別のアントレと戦っていて最初は戸惑った。
これに関しては、この作品においてディールは重要ではないということを改めて示しているなと。ディールをするまでの心の動き、そのディールは何を目的とするか、ついでにディールの結果が重要であって、ディールそのものは刺身のツマでもないってこと。ラノベなどのバトル+ラブコメがメインの作品ではないってことだな。

なお、公式で「残念なアセット」とまで書かれる弱い熊アセットのアントレ。公磨がよく食べている「俺の麺」のラーメン店経営者という衝撃の事実。最後に宣野座が放ってたカップ麺が「俺の麺」じゃなかったのは、つまりはそういうことか? とか思ってしまった。公磨がうまく僅差で勝ったとはいえ、少額の負けでもけっこう悲惨なことが起こりかねないみたいだし。

まあ、ここで大事なのは、公磨が随分戦い慣れている様子だったこと。真朱もだいぶ公磨と打ち解けていたし、公磨のディールについて評価もしていた。さらに、宣野座に「強いんだってね」と言われるぐらいには、公磨は強いと周囲から認識されているってことも分かる。だから、前回の最後の引きに使ったディールも、公磨がうまく勝ったんだろうということは容易に想像できる。だからこそ、前回のバトルの続きから始める必要はなかったわけだ。

で、今回のメインは、公磨の迷い。
サトウが車内で3つのバーガーのどれを公磨に渡そうかものすごく悩んでいたのが露骨な暗喩だったね。

ひとつは、三國が示す道。未来は現在と地続きになっているもので、現在が失われれば未来はないからどんなことをしてでも現在を支える。
ひとつは、今回宣野座が示した道。三國のやり方は未来の可能性をどんどん奪うもの。可能性のない未来しか残らないなら、現在の意味はない。
最後のひとつは、サトウが言っている金融街を潰すって選択肢かな? まあ、サトウのバックにいる組織が本当にそう考えているとは思えないが。

今回は特に三國と宣野座の真逆の方向性で公磨が悩む。
どちらも正しいし、どちらも間違っているとは言える。ベストな選択肢がない以上、どちらがベターか。
そんな悩みを抱えたままディールに臨むから、最初は宣野座に一方的にやられる。てか、宣野座のアセットのカリュマがラスボスの風格すぎて笑った。金融街でも五本の指に入る強さだとか。誰もディールのパスをしてくれなかったのに、三國に負けた以外は50回以上全部勝利しているんだから、その強さは折り紙つき。実際、公磨に対しては必要以上に攻撃を仕掛けず様子を見ながら攻撃していた。これは、バランスディールをやろうとしていたってことだね。ディール後の会話でもそれが伺える。「コントロールできない」ってやつ。

要するに、公磨が予想以上に強すぎて、バランスディールをしている余裕がなくなった。とはいえ、本気を出したら公磨を破産させてしまう。そういう泥沼ディールは、前回の菊池と誰かのディールのように現実世界に多大な影響を与える。だから、宣野座は勝ちを譲ったって感じだったな。公磨には当然手加減する余裕はなく、強力なスコーチドアースを2回ぶっ放したらしいし。たぶん、それで宣野座は結構資金を減らしたはず。だからこそ、現実世界で影響が出ていた。

手加減のところは、野球のグラウンドも暗喩かな。スコアボードの2VS1は、2点側が公磨で1点側が宣野座。2点ってのは、スコーチドアース2発ぶん。で、宣野座が10回裏で負けていたわけだけど、ベースを踏みながらゆっくりダイヤモンドを回って、最後にホームベースを踏まなかったのが象徴的。ホームベースを踏まない=得点しないってことで、勝ちを譲ったという暗喩だと思う。

で、その後に突然宣野座が消滅したような感じを受けて焦ったが、公式を見るとちゃんと生きているらしい。とはいえ、今後すべてのディールをパスすることを決意ってあるから、暗い未来しか想像できない。相手がパスを受け入れるとは思えないから、結局自分が資産を半額にし続けるしかない。100億近くあったのに、数回パスするだけでえらい減る。パスによる資金の喪失で現実にどんな影響が出るかは分からないものの、公式の「この先彼にどのような運命が待ち受けているかは誰にも解らない」って、どう見てもバッドエンドだ。

さて、今回公磨が感じたものは、三國の道でも宣野座の道でもなく、自分の身近な人を守りたいというもの。真朱が傷つくのを見て、勝つのは嫌だが、負けて知人が不幸なことになるのはもっと嫌だ、と。まあ、主人公としてはありがちではある動機ではあるな。現実問題として、そんな甘っちょろいことを言っているような状況じゃないだろ、常識的に考えて、と言いたくなるが、金融街のシステムに対して公磨がどのような方法でその思いを実現しようとするのか楽しみ。

それにしても、真朱が可愛いなあ! ぶっちゃけ、今回一番大事なのはこれでしょ、うん。
あと、ラストの戦闘シーンカットはさすがにやりすぎだと思うが、描写しても意味がなかったのは確かなんだよね。ディールそのものは重要じゃないから、このアニメの場合は。とはいえ、やはり尺の足りなさがもったいなさすぎる。