氷菓 17話

クドリャフカの順番、完結。うん、面白かった。そして、結構切ない展開になったことに驚いたよ。
にしても、あの古典部のシーンは騙されたなあ。発火の仕方から内部のデキレースだなとは想像ついたが、十文字と結託してとは思わなかった。後で見返してみると、犯行をきちんと描写していて、なんで気づかなかったんだと悔しかったり。手品師の注視作戦に引っかかってしまった。

天才……ないし、才能ある人間に対する凡人の嫉妬……いや、そんな単純なものじゃないな。それだけじゃなくて、憧れや諦めもないまぜとなった、何とも言えない感情がテーマだったわけね。確かに、里志の奉太郎に対する挑戦心や、摩耶花の漫画の才能に対するモノローグと、テーマが随時示されていたなあ。
で、里志の想いの対象である奉太郎でさえ、たぶん姉に対する忸怩たる思いがあるはず。あの漫画がなければ解けない謎だから、本来奉太郎にも解けない謎だった。姉が、短時間で色々悟った上で奉太郎に本を渡したことで成り立ったわけだけど、仕掛けに気づくのはかなり遅れたわけで。

そして、生徒会長が「おつかれ」と田名辺治郎にこっそり言うのも印象的。たぶん、田名辺渾身の仕掛けも、会長にとってはカンヤ祭を盛り上げるための余興ぐらいの位置づけでしかなかったってことかな。持たざる者にとっては持つ者の才能が羨ましいのに、持つ者は自分の才能に無関心。そして、持つ者の才能を誰よりも知っているからこそ、有効活用しない相手に対して歯がゆいを通り越した絶望のような感情を持つというか。

やるせないなー。