教室内(スクール)カースト

教室内(スクール)カースト (光文社新書)

教室内(スクール)カースト (光文社新書)

最近出た本。去年の年末にも出ていたっぽいが。
スクールカーストについて、こういう新書で真正面から取り組んだという点では面白いかもしれない。ただ、どうにも結論ありきというか、社会学者のくせにデータ量が圧倒的に不足している。正直言うと、時間がなくて2割ぐらいの完成度で無理やり本にまとめたって感じ。

中高生のアンケートは一応2000〜3000人規模でやったみたいだけど、サンプルが偏りすぎている。公立、私立、中高一貫校、男子校、女子校、共学、偏差値などで大きな差が出そうなことは容易に想像できるのに、そこらへんの分類がまったくできていない。たとえば僕は中高一貫の私立男子校だったんだけど、前にも書いたけど、僕が鈍かっただけかもしれないがスクールカーストみたいなものは形成されていなかったと思う。もちろん、友人グループとかはできていたけど、別にグループ間で力関係が違っていたとか交流がなかったとかそんなことはなかったし。

また、教師側のサンプルが4ってのもひどい。しかも、全員20代男性。少なくとも1人はベテランの教師を出すべきだった。この話題についてネガティブで回答拒否などが多かったみたいなことを書いていたけど、ちょっと疑わしい。時間不足・調査不足感がぬぐえない。で、その4人の意見がどれも同じ傾向で、特にスクールカースト下位生徒への発言が辛辣すぎる。「彼らに何か頼みごととかできない、不安」「将来が心配」「仕事でも100%使えないだろう」「そもそも存在感が薄い、名前覚えられない」「人生楽しくないだろうな」と言いたい放題。彼らに教師を代表されても他の教師は困るだろうなあ。

なんというか、ただ問題をつらつら書いただけという内容。さらに言えば、NHKクローズアップ現代みたいな問題を提起するだけ提起して終わりっていう番組もどうかと思うけど、それ以上にひどかった。