働かざるもの食うべからず

いつもアニメ感想ばっかじゃアレだし、なんとなく思ったことを。
「働かざるもの食うべからず」とかいう言葉を安易に使う人がいるけれども(障害者やホームレスなどにさえ使う)、そもそもこの訳が間違っているわけで。
本来は「働きたくないものは、食べてはならない」で、聖書の中でパウロが言っているものが元。要するに、怠けたい遊びたいという心で働かない者はパンを食べちゃいけないよ、ということ。さらに言えば、食うなと断罪するのではなく、兄弟として警告するもの。だから、健康などの理由で働く能力のない者にこの言葉を強要するのは間違っているわけで。
でもまあ、この言葉は色々独り歩きすることになるわけで。今の日本では「働かざるもの食うべからず」をその言葉どおりに使っているし、レーニンもそういう意味にして引用したね。共産主義では労働しないものは非常に罪なわけで。
で、キリスト教は色々な宗派に分かれる中で、資本主義と結びついていくと。大学生になったらきっと読むことになると思うけど、マックス・ウェーバーの『プロテスタンティズムと資本主義の精神』。これによると、カトリックの時代は労働して蓄財することは罪(金を貯めるってのが)みたいな意識があったわけだけど、そこにカルヴァンの予定説が飛び込んでくる。人が救われるかどうかはあらかじめ神が決めている。教会でいくら懺悔しようが儀式しようが無意味。ただ祈り、働いて、神の教えを守っていくべきであると。で、この精神が資本主義とうまく結びついていくことになる。10年近く前に読んだ本だからうろ覚えだけど、確かこんな内容だったはず。
それにしても資本主義は罪だ。今まさに日本は資本主義へと移行しているわけで、その過程で貧富の差が大きく広がり二極化が加速度的に進んでいる。「日本って資本主義じゃなかったの?」は大きな間違いで、今までの日本の労働体系は限りなく社会主義に近かった。
今の20代は一番悲惨かも(´・ω・`) 企業がリストラを断行し、正社員の採用を抑えてフリーターの雇用を増加させている。ベースアップはしょぼいし、退職金などもどのぐらいもらえるやら。いや、もらえない可能性も高いわけで。年金にしろ、崩壊はしないだろうけど(日本国が存在する限り崩壊はありえない)支給年齢はますます上がり支給額はますます下がる。特に団塊の世代が定年を迎える2008年あたりから負担が凄いことになってくる。
で、今の10代はまだいいんだ。団塊の穴を新卒採用で埋めてくるはずだから。そのとき今の20代は30前後なわけで、それまでに正社員として職歴を持たないと、それこそ一生フリーター、派遣社員になりかねない。いや、なる。