週刊エコノミスト

昨日発売したやつ。3月に特集して僕的に反響大きかった(知識の再確認という感じだけど、記事として取り上げたことが大きい)「娘、息子の悲惨な職場」のPart2が特集されている。これは万人にお勧めだが、特に高校生や大学生は絶対読むべき。立ち読みでもいいから。
前回はどちらかというと労働環境にターゲットを当てていたけど、今回は非正社員がターゲット。1993年では、正社員の平均年収が409.7万円、可処分所得(大雑把に言うと手取り)が333.5万円で、2003年になると平均年収は394.7万円、可処分所得322.7万円と3.7%の減少。しかし、フリーターの場合、1993年の平均年収122.1万円、可処分所得102.7万円が、2003年になると平均年収102.7万円、可処分所得86.2万円と15.9%も減少しているというもの。フリーターの経済的自立がますます難しくなっている現状を最初のページで浮き彫りにしている。
その後、特集記事は非正社員の色々な現実にスポットライトを当てる。その中でこんなのがあった。
「良い人材を安くプールしろ」 これは、社内で人材派遣会社を子会社として設立して、派遣社員と言う形で時給1500円程度に抑えれば週40時間フルに働かせても月24万。新人と同じ賃金レベルでずっと雇うことができるぜ、ひゃっほう! というもの。その話を聞いた社員は「ここまで企業は人件費を削減したいものなのか。これじゃ、いつまでたっても給料が上がらないじゃないか。お金がすべてではないけど、ここで何年か辛抱する意味があるのだろうか」と思う。
随分と悲惨な話だが、事実正社員だった人材を契約社員や派遣などの形で雇いなおすことを迫る企業が後をたたない。なんかね、最近は「会社は株主のもの」という資本主義の意識が強く主張されていてさ。「投資家にとっては利益がすべて。上場企業にはまず、人件費削減を要請する。正社員比率を下げた企業は、リポートでも評価する。株価を上げたい経営陣は、人件費削減にすぐ反応する」という文があって絶望的な気持ちに。社員は、すでに歯車ではなく、もはや部品だという言葉もあった。他者と噛み合う必要もなく、ただただ壊れるまで黙って働くだけ。投資家にとって有利な税制改革も色々行われているし、今回の長者番付ではそういった投資家が躍進している。ほとんどの社員が株とは無縁な日本で、こうした過度な資本主義傾向は本当にやばいと思う。