玄田有史

世間ではニート問題を扱う第一人者と目されている玄田有史。1週間ほど前の朝日新聞夕刊に寄稿してたけど、なんだかなー。内容は、今の若者はネガティブな情報ばかり集めて立ち止まっている。そんなひどい会社ばかりじゃない。きちんと選べばまともなところはたくさんある、みたいな内容だったはず。ちょいとうろ覚えだけど。
http://d.hatena.ne.jp/sahuluru/20050614#p3
あ、ここに記事の抜粋があった、ラッキー。
確かに、ネガティブな情報ばかり先行して氾濫しているとは思う。これじゃどこもブラック会社じゃないか、みたいな。でも、玄田有史のインタビューは、どちらかというと新卒以下の若者限定という感じだ。本当に深刻な問題のニートはそれこそ何年も働いていないわけで。そんな彼らは過酷な職場しか選択肢はない。もちろん本人が悪いのだが、それはあくまで個人の問題で、そんな個人が多数いるという現状はもはや社会問題なわけで。東大助教授という立場でニートを扱ってきているならば、もっと全体を見据えてほしい。これでは、ニートはただネガティブなだけで、今の社会はその気になれば普通に職につくことはできるという誤解を一般の人(普通に生きていれば、今の厳しすぎる雇用状況とかはやはり分からないはず)に与えかねない。
他にも、例の若者の人間力を上昇させる会議だかなんかで「大人の本気を見せて、わかりやすいメッセージを与えることが必要だ」とか言ってるけど具体性にかける。そもそも奥田がメンバーの1人にいるだけで胡散臭さ爆発だし。玄田有史ニート問題をあまりに甘くとらえすぎてやしないだろうか。っていうか、結局はお坊ちゃんの甘い理想論というか。現実はもっとシビアで、すでに社会の構造そのものを変えなければニートだけでなく、非正規雇用者や低所得者がますます苦しむ状況下になっているわけで、ニート問題を論ずることはニートだけにとどまらないもっと大きな問題をあぶりだすことにすらなる。しかし、これらの発言は、ニートへの重大な背信行為……って、いや、別にニートの味方を気取ってないだろうから背信も何もないだろうけど。