報道特捜プロジェクト ニート特集 その5

で、ニート問題を考えると、結局雇用問題にいきつく。そこらへんを改めて考えてみる。
なぜ人は働かなければならないか? さっきも言ったとおり、食べていくため、世間体のためというのがあるだろう。だが、働かなくても食べていける、世間の目なんか気にしないぜ、となれば働く必要はないか? いや、違う。日本においては日本国憲法で勤労と納税の義務が定められている。ニートを責める根拠となっている決定的なものとなっている。
しかし、僕はこう言いたい。義務を設けるのならば、政府は働く場を万人に提供しなければならないと。そうでないと義務を果たすことができなくなる。その場合の反論は、選ばなければ働き口なんていくらでもあるというものだ。しかし、待ってほしい。労働基準法を守らない会社にも働かなければいけないってのはおかしくないか? そもそも相手は明白に法律を破っている。罰則がないのはおかしくないか? 個人の罪は徹底的に糾弾するのに、企業の罪は無視するのはダブルスタンダードじゃないか? それに、憲法では健康的で文化的な生活を送る権利が認められている。しかし、今の労働環境でそれが満たされているのは一体どのぐらいの割合? これっておかしくない?
この矛盾が最大の問題だと思う。今の20代・30代に負担がかかりすぎている。それは50代以上の既得権益を守るためという側面が大きい。で、情報が簡単に入手できるようになった今、この理不尽さを多くの人が知ることとなってしまった。今格差が騒がれているが、単に資産の有無だけで論じられていることが多いのが残念。たとえば年収が300万ぐらいでも、西欧のような労働環境(イギリスやアメリカのぞく)だったらここまで不満が噴出しているとは思えない。資産だけでなく、労働環境、将来への展望なども格差が大きく開いているわけだ。こうした現状に気づくと色々と馬鹿馬鹿しくなるのも無理もない。そして、働かなくても生きていける環境であれば、あえて格差を開いてしまう法令違反の労働環境の場に飛び込んでいくことを拒否する人間が出てきても当然さ。そして、失業者にしても職を選ぶ権利はある。むしろ、選ばなければならない。「選ぶなんて贅沢だ、どこでもいいから働け」というのは無神経で、当人のことをまるで考えていない残酷な一言だ。
ニートというのは、表向きは働いていないし、就職活動してないし、何かの勉強をしているわけでもない人間を指している。しかし、現状はそれだけでなく、失業者、ヘタしたらフリーター、さらには非正規雇用全体まで含めて論議されている。政府はそれをいいことに、自分たちの雇用政策の不備を全て若者の自己責任論にすり替えている。このことに断固抗議しなければならない。政府は雇用問題を考えろ、先進国を自認するならILO条約を批准せよ、と。何度も書いてきたが、日本は労働時間や休暇に関するILO条約を一切批准していない。これほど労働者を奴隷としている先進国はどこにもない、てか先進国でなくても、一部の強権国家をのぞけば日本よりずっとマシな労働環境の国がほとんどということをもっと日本国民は知らなければならない。
とにかくだ。今の労働環境をなんとかすれば、ニート問題も、あとは少子化問題すら解決の方向にいくことは断言できる。しかし、財界からたっぷりと献金をもらっている自民党がいる限り無理だろうなあ(´・ω・`) 本来は我々庶民が団結して圧力団体を作らなければいけないんだけどね。そうでないと金持ちの奴隷のままだから。あえて奴隷という大げさな表現をここでは使っているけど、その言葉は大げさでないことも知るべき。