週刊エコノミスト

特集「娘、息子の悲惨な職場」の第五弾だったので購入。ちなみに、残念ながらパート1はなくしてしまったが、2〜4はきちんと保存している。

■【特集】娘、息子の悲惨な職場 Part 5 果てしなき低賃金
・正社員になっても逃れられない低賃金    小林 美希
日本経団連会長のお膝元キヤノンで正社員化が進むが…
・データで見る労働条件の悪化① 伸びない賃金 人件費の変動費化が進み 正社員の月給も4カ月連続ダウン     小林 真一郎
・データで見る労働条件の悪化② 「正社員化」への幻想 若手正社員の待遇は悪化 減る役職、延びる労働時間    熊野 英生
中途採用の道 正社員へ「25歳の壁」 フリーター経験はマイナス    小杉 礼子
・パートの正社員化 掛け声かかれど同じ仕事で報われない現実    鴨 桃代
・インタビュー 福島瑞穂社会民主党党首  「再チャレンジでは救われない 同一価値労働同一賃金の実現を」
・安倍政権「再チャレンジ」政策の中身 正規・非正規社員ともに厳しい時代    藤森 克彦
・大学4年生の就職は「楽」でした 採用は増えたが大学は「離職率が高い」と警戒    小林 美希
・インタビュー 派遣会社の社会的責務
  篠原欣子・テンプスタッフ社長 「格差は能力の差 正社員望むなら紹介予定派遣」
  南部靖之パソナ社長 「派遣の問題は業界にも責任 単なる正社員化では解決しない」

これはとても大事な指摘。もちろん、この点を指摘している本は数多いし、僕もこれまで何冊か紹介してきた。でも、今のマスコミとかの報道では偽装請負や非正規雇用の問題は取り上げているけど、ニートを生み出す最大の要因と僕は確信している正社員の労働環境をまともに取り上げているマスコミが一体どれだけあることか。まあ、マスコミ自体が労働環境かなり悪いので、あまり取り上げると自分の首をしめることになるから取り上げないんだろうけどさ。
話の大筋としては、非正規雇用状態から正社員になったはいいが、超長時間労働サービス残業で、時間あたりの賃金はもちろん、一ヶ月あたりの賃金すら下がったという悲惨な事例が数多くあるということ。つまりは、正社員にして新卒と同程度の賃金に抑えれば人件費が浮くということ。しかも、今のご時世では昇給なんて大企業とかでないと難しいから、ヘタをしたら一生新卒なみの低賃金になる。それにしても、残業代はゼロだが、1日休んだだけでその分は給料から引くってひどいダブルスタンダードだよなー。
ホワイトカラー・エグゼンプションについても少し取り上げられている。これって僕には超深刻。10月とか残業代だけで10万円こえてるし(それだけ残業が多いんですよ、あうあう。人数少ないから。どうも最近労基が入ったらしい。だから最近は全額支給されているんだろうな)。
とにかく、今の若者は本当にわりを食っている。団塊の世代の場合は、給料が右肩上がりで終身雇用も保証されていた。若いときの給料が低いのは、あくまで後々昇給を重ねるとそれなりの給料になるという保証があったからこそ。それで、若いうちは給料が低くても我慢できたという側面があった。しかし、今はどうか。終身雇用は保証されず、昇給やボーナスも期待できず、退職金ももらえるかどうか分からない。このような状況で働く意欲を持てという方が困難な話だ。
最近カリスマ講師なるものが高校生相手に講演して、その中でよく言われる正社員とフリーターの生涯年収格差が2億円ってやつを得意げに披露していた。しかし、それは現状の認識がまったくできていないと言わざるをえない。この記事の中でも、その年収格差がまやかしであることを述べている。
最後に、最近とみに槍玉にあげられる派遣会社のインタビューがあるが、大手派遣会社に打診してインタビューに応じたものをのせたということだから、テンプスタッフパソナ以外はマスコミの取材から逃げたということですな。後ろめたいところがあるのだろう。