フラクタル 9話

話が色々飛んで展開が早すぎるけど、まあ面白くないわけではない。何だかんだで、残り2話でどうまとめるか楽しみではあるし。
にしても、またフリュネは勝手に単独行動を。自分で思いつめて、自分で全て解決するつもりで、結局迷惑をかけるんだよなあ。まあ、行動力だけはあるから話が動くわけだけど。
それはそれとして、グラニッツ一家だっけ? 人殺しとか何を今更と違和感を感じた。あー、ひょっとして僧院の人間は人としてカウントしていないとか?

やっぱり、なぜフラクタルの再起動を阻止しようとしているのか、そこら辺の説得力がいまいちないのが残念なんだよなあ。
いや、分かりはするんだ。
人間が働かなくても生きていけるフラクタルシステム。一見すると理想郷に見える。しかし、家族が一緒に暮らさずドッペルという仮の姿に人格をのせて運用している不自然さ。てか、子供が親の顔すら知らないという異常さ。そして、フラクタルシステムが徐々に崩壊している中、フラクタルを失った地区では人が難民のようになり、自分たちの力で生きる気力を半ば失う弊害。かたや、フラクタルシステムが完全に起動している地区では、享楽と退廃に満ちたこれまた人としての在り方としては疑問を持つような世界。このような不自然な管理社会はおかしくないか? というのを突き付けているのがロストミレニアム。
で、ロストミレニアムが提示するのは、フラクタルシステムには頼らない、まあリアルの我々が認識する社会や家族の在り方。場合によっては、リアルの我々以上に、人と人のつながりや、他人に頼らず自分たちの力で生きる独立心を大切にしている。オタクたちよ、外へ出ろ、社会へ出ろ、働け……は穿ちすぎですな、はい。
とにもかくにも、分かりやすい二つの相反する社会を出して、さあどうする? っていうのが大きなストーリーの流れではある。
しかし、フラクタル側、ロストミレニアム側、どちらの生き方も短い話数で駆け足のように見せるしかなかったのが最大の問題。現在何とかまだもちこたえていて、場合によっては再起動できるかもしれないフラクタルシステムを、あえて完全に打ち壊して、フラクタルシステムに依存している人類にロストミレニアムの生き方を強要するってのは、はたして正しいことと言えるのだろうか? そこらへんの説得力がないんだよなー。主人公に、もっと色々経験させて、悩ませて、そして結論を導きだしてほしかった。題材は面白いだけに非常にもったいない。てか、毎回もったいないと書いている気がする。