ついでに

下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たち

下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たち

立ち読みだったし、全部は読んでいないけれども、読みやすいしわりと面白いと思った。消費主体、等価交換によって、この授業を聞く苦痛に対して得られる自分の利益を考えると、10分の集中程度であとの50分は好きにする。ニートで言えば、この労働に対してもらえる報酬があまりに見合わないから労働はしない。ニートなどは経済的合理性に基づいた行動を取っているという考えは、ああなるほどと思える。そういう層は確かにいると思う。
もちろん、一部で全部は語れないし、学者などによくあることだけど、自分のロジックに当てはまるように話を展開するから、一見すると全てすっきり説明できるように見えて、実はどれも一面しかとらえていないとなっているのは仕方ないところか。等価交換、場合によっては投資した労力以上のペイを期待できる職業ばかり求めるのではなく、雪かきのような「誰かの不利益を抑制する」仕事も大切で、その視点が欠けていよ、といったことが書いてあって、それは確かにそうだ。頷くことはできる。でも、現状そういった雪かき仕事は、ワーキング・プアになる可能性が高い、使い捨てられる恐れが高い、という面については触れられていない。労働と言うのは基本的に等価交換は成り立たないものだと書いてあるけれど、対価があまりに見合わなさすぎる、しかもそういった仕事により受ける健康破壊、年齢の加算、などの不利益が大きすぎるということも考慮に入れないといけない。経済的合理性など考えるまでもなく、一方的に不利益な仕事があまりに多すぎる今の日本社会をどうにかするべきだと思うわけで。もちろん、そういった視点からは論じないというスタンスであると思うから、そういったことに触れられていないのも理解はできる。でもねー。
すごい無責任なことを最後に言ってみる。内田氏は「すでにニートになった人は仕方ない。将来起こり得る社会的コストを考えると、彼らが食えなくなったら我々が養っていくしかない。ただし、これからニートになろうとする人をなくしていく努力はしなければならない」という考えだから、働くのが嫌な人は氏を大プッシュしてみてはどうだろうか。
とにもかくにも、きちんと本を購入してじっくり読んでみるか。