メーデー

というわけでメーデーなわけだけど、去年と比べてまた事情も変わってきた。
プラスの面では、一部メディアの報道・キャンペーンや、非正社員たちによるユニオンなどの活動により、今の労働問題についての問題提起がそれなりにされたこと。少なくとも3年ぐらい前と比べたら、日本の労働環境の劣悪さが相当なところまできているという認識はそれなりに広がってきているとは思う。とにかく、問題提起自体が認識されないとどうにもならないから。
しかし、問題を解決する方向へはなかなか向かっていないのが現実。対症療法的に、相当ひどい例だけ指導が入ったり裁判が起きたりなどで話題にはなるものの、氷山の一角にすぎない。そして、何より深刻だと思うのは、予想されていたことではあるが一時期に比べて格差などに関する話題がのぼることが極端に少なくなったこと。日本人の特徴だけど、熱しやすく冷めやすいというか。ワっと広がってそれ関連の本がたくさん出版されたりしたけど、一気に消費されて、もう金にはならないとばかりに取り上げられることがなくなっていった。
たとえば、暫定税率の問題だって、ガソリン代が安くなることの利益がどれほどのものか。正直、一般の人間がガソリンスタンドに長時間並んで待つのは、時間と疲労を考えると明らかに損しているだろうとか思うのだけれど、運送業者にとってはかなりの死活問題であることは事実。今の運送会社、特に中小のそれの労働環境はかなり凄絶なものがある。場合によっては首をくくるかくくらないかまで追い詰められているところもあるだろう。話は逸れてしまうが、シャッター通りなんかも深刻だよね。正直、町の商店街とかで小さな店を開いているところ、生計が成り立っているのかどうかいつも不思議に思う。店の入れ替わり頻度も凄いし。そうした庶民の生活を議員はどれだけ考えることができるか。特に二世三世議員。
はっきり言うと、労働問題というのは、もはや生死に関わる問題に近づいていると思う。それだけ、労働環境における格差というのは開いてきている。そして、上の者は下の者の苦労、というか生死に直結している必死さが分からないし、たぶん一部は気づいてもいない。後者の方がより深刻で、もはや階級制が自然とできあがっている。上の階級と下の階級の差が広がるほど、両者の交わる機会は少なくなり、ますます互いの理解が遠のく。これは真剣に大きな問題だと思う。
結局、上の階級以外の者が団結しないとどうにもならない。ちなみに、団結という言葉を聞いて、反射的に「胡散臭い」と感じたら、それは危険信号。飼い慣らされすぎていますよ。労働者が団結するのは当然の権利だし、それをかっこ悪いと思ったり、ましてや赤、非国民、プロ市民などという罵倒の言葉が浮かんだら、あなたはどこの国の人間ですか? と逆に聞きたい。きちんと主張すべきことを主張できないのはただの奴隷。横暴に対しては、きっちりと声を上げなければならないし、それが一人の人間として正しい行動といえる。
幸い、非正社員たちの団結は、まだ小さな芽ながらも少しずつ広がっている。これに正社員も加わらなければならない。ここで正社員は敵とか言うのは分断工作とすら言える。使用者と労働者で考えなければならない。正社員も非正社員も労働者であるし、今の日本では実質使用者と労働者の力関係が大きく使用者側に傾きすぎている。労働者が全体で団結していく必要がある。