ラノベ主人公というくくり

琴浦さんの真鍋の「好きだからだ! 文句あるか!」のくだりで、昨今のラノベ主人公に見習わせたいとかそんな感じの感想を結構見た。
なんか、それってちょっと違うとは思った。ヤレヤレ系とか鈍感、難聴主人公はもうゴメンっていう風潮が一部にあるけど、それってラノベが元凶ではないと思うんだよね。

昔のラブコメは、基本主人公、ヒロイン、ライバル男という三角関係がメインで、そこにサブキャラクターが絡んでくるといった構成で、そのサブキャラクターも女性キャラは少ないことが多かった。
ただ、ときメモの大ヒットでギャルゲーが一世を風靡し、さらにエロゲーの痕→TO HEART(この流れの過程で雫が再評価された)、ONE→Kanonによりビジュアルノベル+ギャルゲー、純愛エロゲーというジャンルが確立された。この時期に、一般ゲー、エロゲー問わずギャルゲー、純愛エロゲーが大量生産された。本当にたくさん出た。
でも、これらって基本的に1つのルートで結ばれる女の子は一人だった。

で、これらがアニメ化するにあたって困るのは、特定のヒロインのルートへ行くと、その他のキャラのファンの需要を満たさなくなるということなわけで。そのため、主人公は複数人のルートを渡り歩き、それでいて作中で結ばれないようにするために、かなりクリティカルなイベントをこなしてもヒロインの気持ちには鈍感にならざるをえなかった。

だってそのまま突き進むと攻略してエンディングになってしまうから。
そこらへんを、アマガミSSでは3話(だったっけ?)で1人のルートを描き、エンディングを迎えるたびにリセットして新たなルートを始めるという方法で乗り切ったわけだが、それは珍しい例。

話を戻すと、ストーリーの都合で主人公は特定のヒロインと結ばれちゃダメになったんだよね。で、鈍感主人公、難聴主人公が量産されていった。この時期はラノベのアニメ化なんてほとんどなかったから、ギャルゲー、エロゲー原作がメイン。
さらに、ストーリーは男にとってより都合のいいように進化していって、ヒロインがオタクだったり、ヒロインが主人公をグイグイ引っ張っていったり、ハーレム上等で皆が主人公を取り合う、場合によってはハーレムでいいです発言まで出るようになる(昔は、主人公にフラれたサブヒロインは、主人公の思いを振り切って新たな恋を探すって感じがほとんど)。
そこらへんの進化の仕方は、漫画、ゲーム、ラノベはほとんど同時というか、双方向性を持っていると思うんだよね。昨今はラノベのアニメ化がものすごく増えて、そういうジャンルのものがアニメ化されるから、このテのストーリー=ラノベと言われがちだが、それはちょっと乱暴なくくりだと思う。